基地負担の問題の当事者はだれか

 12月21日の日経新聞の社説「円滑な日米同盟には沖縄の理解が必要だ」で、安倍政権の対話姿勢を促し、沖縄県民の反基地感情を和らげる努力をすべしと説いている。

 このような発想は確かに必要ではあるが、果たしてそれだけで十分であろうか。日経新聞の社説では、政権と沖縄県民のみを当事者とする考え方であるが、日経新聞をはじめとするメディアや沖縄県民以外の日本国民は「部外者」でよいのか。

 沖縄県に基地が集中しているのは、安全保障の観点から地政学的に重要だからという理由だけではないはずである。一般市民の多くが犠牲となった沖縄戦が本土決戦までの時間稼ぎのための捨て石作戦であったように、無意識下にある「本土」側の差別意識が根底にあるのではないだろうか。

 また、「本土」側の国民は、安全保障の受益者でもあり、沖縄県にこれだけのコストを背負わせ続けてよいのだろうか。

 在日米軍の専用施設に占める沖縄の比率が7割を超えてしまうような現状を作り出してしまった、差別意識を含めた「構造的な問題」をメディアは報じるべきであるし、「本土」側の国民もこの点を意識して、沖縄県民の基地負担の問題を考えるべきではないか。決して「対岸の火事」ではない。